こんな話を聞いたことがあります。
「健康診断で高血圧と指摘され減塩を始めてみた。本屋さんで減塩レシピの本を購入し、数十年ぶりに調味料を計量しながらの調理。苦労してできた一品を口に運ぶと、味の薄さを実感。この味の生活をこれから続けなければならないのかと不安を感じる。食の楽しみが減った気がする。」
食塩摂取量が多いと言われる日本で減塩をすると、血圧を下げる効果がある分、物足りなさも感じてしまいます。
そこで、お勧めなのが徐々に減塩です。
舌が慣れてくる
減塩の生活をしていると徐々に舌が慣れてきます。
ある研究では、普通の味噌汁から減塩の味噌汁に代えて何日で慣れるかという実験が行われました。10日で対象者は慣れることができるという結果だそうです。正確には、実験の初めは「味がうすい」と感じていたが、徐々に「ややうすい」と感じ、10日後には90%の対象者は味が「うすい」と感じなかったとのことです。
減塩初日であきらめずに、まずは10日間続けることがお勧めです。
段階的に減塩
とはいえ、味が薄くなると食の楽しみが減った気がします。そこで、段階的に減塩することでその苦痛を和らげてくれます。
例えば、お味噌汁を作るときに、いつも大さじ2の味噌を入れていたが人が、急に大さじ1にしたらとても薄味に感じるでしょう。味噌風味のすまし汁くらいに感じるかもしれません。
そこで、大さじ1.5にしてみます。そうすると「ちょっと味が薄いかな」と感じます。その「ちょっと味が薄いかな」を10日続けます。そうすると舌が徐々に慣れていき苦痛に感じなくなります。
大さじ1.5に慣れてきたら大さじ1にしてみます。そうするとまた、「ちょっと味が薄いかな」と感じます。しかし、10日後には徐々に慣れてきています。
食材の味を楽しめる
この記事を読んでいるあなたは高血圧対策で減塩を考えているのだと思います。しかし、減塩は高血圧対策だけでなく、食材の味に敏感になることができます。言い換えれば、今まで気づかなかった食材そのものの味を美味しいと感じることができるのです。
あなたの周りにバターやマーガリン、ジャムを付けずにパンを食べる人はいませんか?
そんな彼らに「味しなくない?」と尋ねると、「パン自体が美味しいから」とか「小麦を味わってる」と返答されます。
この境地までたどり着く人は少ないと思いますが、近づくことはできます。
筆者のお勧めは、湯豆腐をそのまま食べることです。一般的にはポン酢や醤油をつけていただくことが多い湯豆腐です。しかし、そのまま食べることで豆腐の甘さのようなものを感じます。また、同じ豆腐でも木綿豆腐か絹ごし豆腐かで味、食感の違いをより強く感じることができます。
冷たいものよりも温かいものの方が強く味を感じます。そのため、湯豆腐をお勧めしますが、冷奴でも十分に美味しくいただけます。
騙されたと思って、1度、湯豆腐をそのまま食べてみて下さい。きっとその美味しさに気づくと思います。1口目は味がないと感じるでしょう。しかし、2口、3口と食べると徐々に豆腐の美味しさを感じてきます。ポイントはよく噛んで、味わうことです。
まとめ
- 減塩料理を続けることで舌が慣れてくる
- 一気に減塩するのではなく、少しずつ段階的に減塩する
- 減塩することで食材の味に気付くことができ、食が豊かになる
今回は減塩のポイントをご紹介しました。
これは、筆者の主観ですが豆腐にしろ、刺身にしろたっぷりの醤油をかけてしまえば似た味になると思います。安価な刺身も高価な刺身も醤油味になってしまうのです。
食材そのものの味を繊細に感じ取り、味わうことができるのは減塩に取り組んでいる人の特権なのかもしれません。今日から徐々に減塩を始めてみませんか?
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