認知症って何?

保健師の日常
相談者
相談者

周りのおじさんやおばさんが認知症の話をよくしてるんだけど、普通のボケと違うの?

筆者
筆者

最近よく「認知症」という言葉を聞きますよね。

そこで今回は、認知症の基本的なところをご紹介します。

この記事で分かること
・認知症とは
・加齢に寄る物忘れとの違い
・身近な人の認知症で困ったら

認知症とは

WHOの定義では、

「脳疾患による症候群であり、通常はあるいは進行性で、記憶、思考、見当識、理解、計算、学習能力、言語、判断を含む多数の高次皮質機能障害を示す。意識の混濁はない。認知障害は、通常、情動の制御、社会行動あるいは動機づけの低下を伴うが、場合によってはそれらが先行することもある。この症候群はアルツハイマー病、脳血管性疾患、そして、一次性あるいは二次性に脳を障害する他の病態で出現する。」

と、言われています。

相談者
相談者

いやいや、何言ってるかまったく分かんないよ!

筆者
筆者

筆者的に簡単に表すと、

「認知症は脳の病気で、記憶する力や判断する力などが低下して、気持ちのコントロールも上手くできない状態」です。

相談者
相談者

分かったような…分からないような…

筆者
筆者

もう少し具体的に紹介しますね。

記憶力が低下する

記憶力が低下する例を幾つか挙げてみます。

・毎朝飲んでいる薬を飲んだことを忘れて、再び飲んでしまう。
・外出時に帰り道が分からない。
・親しい友達の顔が分からない。

脳の”海馬”という、記憶を司る部分が委縮することでこうした物忘れが生じます。

人によっては自分の子供の顔を思い出すことができなくて、家族がショックを受けるといったこともあります。

特に、短期記憶が難しくなる場合があり、数分前のことを思い出せないこともあります。ただ、昔の記憶は比較的覚えていることが多いと言われています。

判断力が低下する

判断力が低下することで、まとまりのない話をしたり、意味のない作業をしたりすることがあります。

具体的には、
・使い慣れた道具が使えなくなる
・服の脱ぎ着がうまくできなくなる
などが挙げられます。

こうした症状が進行していくと、日常生活に支障をきたします。

気持ちをコントロールする力が低下する

認知症の方には、強い不安感やこだわりがあったり、攻撃的な言動をすることがあります。

これは、認知症そのものの症状(中核症状)がある状態で、周りの人に怒られたり、身体に痛みが生じたり、薬の副作用があったりと、他の刺激が加わることで生じます。

認知症の人の気持ちを少し考えてみましょう。

既に朝ご飯を食べた後に、その事実を忘れて朝ご飯を食べようとした認知症の父(80歳代)を同居の息子(50歳代)に止められたと場面を考えてみましょう。

認知症の人の気持ちを考えてみると、

「いつものように朝ご飯を食べようとしたら、同じ部屋に知らない男性がいて、取り上げられた」という風に感じてしまいます。

こう考えると、認知症の人が不安になるのも少し分かる気がしませんか。

そうした不安な場面が1日に何回も生じたら、ストレスもたまり更に不安になってしまいます。

※認知症の症状は人それぞれ異なります。ここに、紹介したものは一例ですので、認知症の方が必ずしもこういった行動をするわけではありません。認知症のイメージを掴んでもらえたら幸いです。

加齢に寄る物忘れとの違い

加齢に寄る物忘れとの違いは、エピソードそのものを忘れてしまうことです。

具体例を挙げるなら
・加齢に寄る物忘れ 朝ご飯に何を食べたか忘れる
・認知症の物忘れ  朝ご飯を食べたこと自体を忘れる

また、前述のように服の脱ぎ着が上手くできないことや、自宅までの帰り道が分からないといったことは認知症ではよく聞かれる症状です。

こうした症状は、加齢に寄る物忘れではほとんど現れません。

繰り返しになりますが、加齢による物忘れとの違いは、エピソードそのものを忘れるかどうかです。

身近な人の認知症で困ったら

家族や近所の人が認知症かなと思ったらお近くの「地域包括支援センター」へ相談してください。

地域包括支援センターは市町村の高齢者相談窓口です。

認知症だけでなく、介護や医療に関する相談にも応じてくれます。高齢者関係で困ったらまず、地域包括支援センターへ相談してみてください。
※地域包括支援センターは自治体によって名称が異なる場合があります。その場合、
 「○○市 地域包括支援センター」と調べてみてください。

他に、医療機関に相談するというのも一つの方法です。そこから、ケアマネジャー等を紹介してくれることがあります。

相談者
相談者

うちの中のことだから、なかなか市役所には言いにくいなぁ

筆者
筆者

そういう場合は、まず身近な人に話してみることです!

認知症や介護の大きな問題は、本人を支える家族が疲れてしまうことです。

いわゆる介護疲れや介護負担感です。

そこで、大切なことは家族だけで抱え込まないことです。

周りの誰かに相談すれば、「私の時はこういう風にしたよ」とか「あそこに相談してみたら」とか何かしら助けになります。

そうしたアドバイスがもらえずとも、自分の困りごとを人に聞いてもらえるだけで気持ちが楽になります。

家族だけで抱えずに、人に相談することが大切です。

まとめ

・認知症は判断力、記憶力などが低下して気持ちのコントロールもしにくくなる状態
・加齢に寄る物忘れとの違いはエピソードそのものを忘れてしまうこと
・認知症で困ったら地域包括支援センターへ相談
・家族だけで抱えこまずに身近な人に相談する

日本は高齢化率が世界トップで、認知症の方も沢山いらっしゃいます。そのため、認知症の方へのサービスも諸外国よりも充実しています。

介護や福祉、医療のサービスをうまく利用することが、本人も、家族も穏やかに過ごすためには大切なのだと思います。

おすすめ書籍

この記事では認知症について簡単にご紹介しました。

しかし、認知症は奥が深く、認知症の症状や認知症の家族へのかかわり方などについても、知っておく必要があります。

そこで、認知症を分かりやすく解説した書籍を3冊ご紹介します。

「家族が認知症の診断を受けた」「どうかかわって良いか分からない」という方におすすめです。

漫画なのでサクサク読めて、「認知症の家族は何であんなことをするのかな」という疑問が解決する糸口になると思います。

こちらも、「家族が認知症と診断された」という方におすすめです。認知症や介護だけでなく、お金の困りごとも紹介されているので実用的です。

看護学生さんにはこちらがおすすめです。

最近は入院患者さんの年齢が上がってきているので、老年看護学実習のみならず、基礎看護学や急性期や慢性期の実習でも認知症の方を受け持つことがあります。

そんなときの記録やアセスメントに役立つ1冊です。

おすすめの3冊です。ぜひ、活用してみてください!

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