筆者が看護師から保健師へ転職した際に驚いたことの1つが、運動量の違いです。
結論から言って看護師の方が圧倒的に運動量が多いです。
これは私の保健師時代の体験だけでなく、他の自治体の保健師さんの話を伺っても同様です。
なので、看護師全般、保健師全般を考えてもやはり、看護師の方が運動量が多いのではないかと思います。
今回は、看護師と保健師の運動量の違いについてご紹介します。
看護師の運動量
看護師に「忙しい」「バタバタしている」といったイメージはありませんか?
病院の看護師さんは実際に忙しく駆け回っています。
8時30分 電子カルテから受け持ち患者の情報収集
9時00分 清拭
10時00分 検温、点滴
12時00分 休憩
13時00分 入院患者対応
15時00分 体位変換
16時00分 翌日の準備
筆者の看護師時代のある1日です。電子カルテからの情報収集と休憩以外は基本的に立って仕事をしていました。キャスターのついた台に乗ったパソコンが電子カルテとなっていましたので、記録も立って入力します。
清拭、体位変換、車いすへの移乗、歩行介助などは患者の体重を支えるので、純粋な力や体力を使います。
加えて、ナースコールや離床センサーは頻繁になります。その都度、病室へ伺い状況を確認、対応します。
※離床センサー:転倒防止のための装置。転倒リスクが高い患者が起き上がった際に、ナースステーションへ知らせてくれる。
つまり、看護師は立っている時間が長いだけでなく、力仕事があり、病室から病室へ行ったり来たりしているため、運動量としては多いのです。
保健師の運動量
保健師はデスクワークの時間が長いです。
8時30分 朝礼、保健センター内清掃
午前 健康教育の準備
12時00分 昼休憩
13時00分 乳幼児健診
15時00分 保健センター内会議
16時00分 健康教育準備
これは、筆者の保健師時代のある1日です。
職場や担当業務によって異なるとは思いますが、筆者の場合8割~9割がデスクワークでした。
保健師という仕事は、何らかの事業を進めていきます。
高血圧の健康教育を例に挙げてみます。
- 健康診断結果から高血圧リスクの高い者を抽出
- 対象者への案内作成
- 薬剤師、管理栄養士、医師などへ講師の日程調整
- 依頼の文書作成
- 対象者からの予約対応
- 健康教育の資料作成
- 健康教育実施
- 報告書作成
- 講師への謝礼支払い
高血圧の健康教育を実施するまでに必要な業務はざっとこんな感じです。細かく言えば会場の確保や従事者間の役割分担などの業務もあります。
つまり、1つの事業を行うのに必要となる事務作業が多いのです。事務作業に伴いデスクワークの時間も長くなるという訳です。
訪問や保健指導、健康診断などのイベントがある際には、立っている時間も少しは増えますが、看護師と比較すると少ないことは変わりません。
保健師の運動量は看護師よりも大分少ないのです。
座位時間が長い
座位時間が長いことは健康問題の1つと言われています。
座位時間が長い人は、そうでない人に比べて寿命が短く、肥満度が高く、2型糖尿病罹患率や心臓病罹患率が高いことが言われています。(厚生労働省)
日々住民に運動が生活習慣病予防になることを伝える保健師ですが、座位時間が長いという側面もあります。
筆者は保健師1年目でちょうど運動不足を感じている時期に、この「座位時間の健康問題」について目にしたのを覚えています。
保健師の運動不足解消方法
看護師と保健師の違いの1つとして勤務形態が挙げられます。
多くの看護師が日勤と夜勤の業務を行っています。加えて早番や遅番、12時間日勤などの勤務形態をとっている病院もあります。いろいろな働き方ができる反面、変則的な勤務でもあります。
一方、多くの行政保健師は基本的に平日日勤、土日祝日休みです。
そのため、毎週同じ曜日に習い事やスポーツクラブに行くことができます。また、ジムに通う場合であっても、「毎日19時から1時間ジムでトレーニングをする」といったように、生活リズムを整えやすいという点も挙げられます。
実際に筆者は、保健師へ転職後、地域のスポーツクラブに毎週通うようになりました。
看護師時代にもスポーツクラブへ行きたいという思いはありましたが、勤務が不規則であるため毎週同じ曜日に行くことができませんでした。
このように、保健師は規則的な勤務形態であるためスポーツやジムを活用して運動不足を補うことができます。
まとめ
- 看護師は力仕事や体力を使う業務も多い。
- 保健師はデスクワークが多く運動量としては看護師よりも少ない。
- 保健師の規則的な勤務形態を活かしてスポーツやジムなどで運動不足を補うことができる。
今回は看護師と保健師の運動量についてご紹介しました。
この記事は筆者の体験をもとにしています。看護師や保健師の働く場はどんどん広がっており、働き方も選ぶことができる職場も増えています。
そのため、必ずしも保健師の方が運動量が少ないとも言えません。実際に母子や成人、精神疾患の方への訪問で飛び回っていたり、大きな自治体では毎日の様に乳幼児健診を行っているところもあるそうです。
今回の記事はほんの1例です。
もし、この記事を読んでいるあなたが保健師への就職や転職を考えているのであれば、希望する職場を一度見学させてもらったり、インターンシップなどを活用することも有用だと思います。
この記事が、保健師に興味のある方の目に触れてくれれば嬉しく思います。
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