最近、親に物忘れが出てきて、ひょっとして認知症なのかな?
家族に物忘れがあると認知症じゃないかと心配になりますよね。
じゃあ今回は、「認知症かも」と思ったときの対応を簡単にご紹介します。
この記事で分かること
・家族が認知症かもと思った時にすること
・家族ができる認知症チェック
・地域包括支援センターって何?
・認知症についての信頼できるサイト
・分かりやすい認知症の本
家族が「認知症かも」と思った時にすること
まず、本人と一緒に医療機関を受診しましょう。
理由は3つあります。
1つは本人や家族の気持ちの問題です。
「家族が認知症かもしれない」という状況は、認知症を心配する気持ちと、病院へ行って、本当に認知症と診断を受けたらどうしようという不安があると思います。
しかし、「認知症かもしれない」という不安を抱えたまま1年、2年と過ごしていくこと自体にも辛さがあります。
思い切って病院を受診して、認知症と診断された場合には、適切な治療やサービスを利用することもできます。
そのため、本人や家族の気持ち的にも早めの受診が大切です。
2つ目の理由は、適切な治療で認知症の進行を抑制できるかもしれないことです。
認知症には種類があり、中には早い段階からの服薬で進行を緩やかにすることができるものや、治療によって症状が改善するものもあります。
そのため、早めに受診して適切な治療をすることは、本人にとっても家族にとっても大切です。
3つ目は、これからの生活の準備ができるということです。
認知症の症状が進行していくと、判断力や記憶力が低下して、自分だけでは物事を上手く決めていけなくなることがあります。
そうなったときに備えて、本人と家族で今後どういう生活をしていきたいか考え、周りの人に伝えることができます。
これらの理由から「家族が認知症かも」と思ったらまず、医療機関に受診することが大切です。
でも、どこの病院にいったらいいんだろう?
まずは、かかりつけの医療機関で診てもらいましょう。
まずはかかりつけの医療機関で診てもらうことで、必要な時には認知症の専門の医療機関に紹介してもらえます。
医療機関にもよりますが、多くの場合、数回専門の医療機関で診察があり、その後は、かかりつけの医療機関で診てもらうというパターンになります。
かかりつけの病院が無いんだけど、どうしよう。
そんなときは、近くの地域包括支援センターへ相談してみてください。
地域包括支援センターは、地域の高齢者の相談窓口です。各市町村が設置しているので、お住いの地域にもあるはずです。
自分の住んでいる地域の地域包括支援センターが分からない場合は、インターネットで「○○市 地域包括支援センター」と調べてみてください。
地域包括支援センターという名称ではないかもしれませんが、相談窓口が出てくると思います。
家族ができる認知症チェック
でも、よそに相談するのは少し勇気がいるなぁ。
相談する前に出来ることがありますよ。
下のチェックリストを使ってみてください。
認知症チェックリスト
下の中から3つ以上当てはまった方は、医療機関や地域包括支援センターへの相談をおすすめします。
- 同じことを言ったり聞いたりする
- 物の名前が出てこなくなった
- 置き忘れやしまい忘れが目立ってきた
- 以前はあった関心や興味が失われた(ゲートボール、ガーデニング、趣味など)
- だらしなくなった(ゴミを片付けない、洗い物をしないなど)
- 日課をしなくなった(花の水やり、ウォーキングなど)
- 時間や場所の感覚が不確かになった
- 慣れた所で道に迷った
- 財布などを盗まれたという
- ささいなことで怒りっぽくなった
- 蛇口・ガス栓の閉め忘れ、火の用心ができなくなった
- 複雑なテレビやドラマが理解できない
- 夜中に急に起きだして騒いだ
※参考 国立長寿医療研究センター:認知症チェックリスト(2017)
これらはあくまで目安です。認知症の診断をするものではありません。
家族が認知症かもしれないと思った方はもちろん、自分が認知症かもしれないと思った時に、家族に確認してもらっても良いと思います。
困ったら地域包括支援センターへ
認知症に関することで困ったら地域包括支援センターへ相談してみてください。
地域包括支援センターとは
「地域包括支援センターは、市町村が実施主体となり、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員等を配置して、3職種のチームアプローチにより、住民の健康の保持及び生活安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設である。」
と定義されています。
何を言ってるか全然分かんないよ!
簡単に言うと、地域包括支援センターは
「健康や福祉サービスの専門職がいて、住民のサポートをしてくれるところ」です。
具体的には、高齢者関係等の相談窓口になっていて、ケアマネジャーや医療機関、場合によっては成年後見人などの調整をしてくれます。
地域包括支援センターでしてくれること
地域包括支援センターでは、サービスの調整をしてくれます。
高齢者に対する介護・福祉のサービスはとてもたくさんあり、人によって使えるもの使えないもの、使えるけどお金がかかるものなど様々です。
サービスは法律や条例に基づくものが多く、それを、当事者が自ら把握し、適切に判断するのは困難を極めます。
そこで、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員などの専門職が、本人と家族の話を丁寧に聞きながら、その状況にピッタリのサービスにつなげてくれます。
認知症情報サイト
家族の認知症が心配な時には、まず、ネットで「認知症 症状」と調べるのではないでしょうか。
そうすると、3千万件近くヒットします。
医療機関や保険会社、製薬会社、福祉サービスを提供する企業なども掲載しています。どこのサイトもある程度の根拠はあると思いますが、書いてある内容が少しずつ違うことがあります。
そこで、信頼できるサイトを3つご紹介します。
e-ヘルスネット
こちらは、厚生労働省が管轄する生活習慣病予防のための健康情報サイトです。運営が国の機関ということで信頼度が高く、記事を書いているのも専門医であることがほとんどであるため、正確な情報が掲載されています。
厚生労働省ホームページ
言わずも知れた国の機関です。
こちらのページには認知症について知りたい一般の方むけに、幾つか資料が掲載されています。若年認知症や軽度認知症(MCI)について掲載されている資料もあります。信頼度と分かりやすさで言えば一番おすすめです。
政府広報オンライン
内閣府大臣官房政府広報室が運営する国の施策について広報活動を行っているサイトです。政府が運営しているサイトであり、信頼できます。
その中に、「知っておきたい認知症の基本」というページがあり、とても分かりやすく書かれています。
認知症の方の家族向けではありますが、看護学生さんや行政職員で高齢者部門に配属になった方などにもおすすめです。
認知症の本
ネット上にも沢山情報はありますが、認知症の症状や介護・福祉サービス、適切なかかわり方などを全体的に知るのは困難です。
認知症について、ちゃんと知りたいときには、1冊本を手に取ってみることをおすすめします。
といっても、認知症の本も沢山あります。
そこで、「簡単で分かりやすい」という点で筆者のおすすめを3つご紹介します。
「認知症の人」への接し方のきほん
「認知症の家族が大騒ぎをして困る」「認知症のせいか妄想があって困る」といった話をよく聞きます。認知症の方に適切に接することで、こうした症状が和らぐことがあります。
認知症という状態は、接し方がとても大切です。接し方によっては本人も家族も心穏やかに過ごすことができます。
その「接し方」に焦点を当てたのがこちらの本です。
認知症の方の家族や看護学生、保健師学生、その他医療福祉関係者にもおすすめです。
認知症の親へのイラッとする気持ちがスーッと消える本
認知症の家族と接するときに「イラッ」とする瞬間は、往々にしてあるものです。医療機関や介護施設で働く専門職であればまだしも、一般の方々は、日々自分の生活で忙しい中で、認知症の家族と接すると気持ちが動揺することや怒れることはあって当然です。
しかし、それが積み重なると、家族も本人も辛い時間を過ごさねばなりません。
そうなる前に読みたいのが、この1冊です。
ゆるめのイラストが多く、直感的に理解できるのでおすすめです。
身近な人が認知症になったら
認知症の家族あるあるが〇×形式で分かりやすく解説されています。
漫画での解説が多く、とっても分かりやすいです。
著者である佐藤眞一先生は有名な心理学の先生で、ここに掲載されている内容も信頼できるものです。
初めて認知症について知りたい方におすすめの一冊です。
まとめ
家族が「認知症かも」と思ったら、
・まず医療機関へ受診
・認知症で困ったら地域包括支援センターへ相談
家族が「認知症かも」と思うと、心配な気持ちがつのると思います。
大切なことは一人で抱え込まないことです。病院へ行くのに勇気がいれば、地域包括支援センターへ相談してみてください。それが難しければ、まずは他の家族や友人に相談しても良いと思います。
本人も家族も幸せに過ごすためには、早期の対応が大切です。
この記事が、認知症のご本人やご家族のお役に立てば嬉しいです。
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